ゲノム編集技術は世界的にも新しい技術ですが、様々な問題の解決の糸口としてとても重要な役割を担っています。
ゲノム編集のこと、ハイギャバ®トマトのことを簡単にご紹介します。
日本の農業の課題と ゲノム編集が担う未来
現在、日本の農業は深刻な状況に直面しています。
気温の上昇による品質・収量の低下、気候変化によるウイルスや病原菌の増殖や、今までは見られなかった病気の出現、農家
の高齢化、後継者や人手不足、そして世界に目を向ければ、人口増加による食糧需要の増加や、収量を求めた過剰な肥料による土壌汚染、水不足といった様々な問題や課題もあります。
我々種苗開発会社にも持続可能な農業を促進し、社会課 題を解決する使命があります。
小規模な生産地でも人々が暮らせるように生産能力を向上させた作物や、気候変動に対応できる性質や病気にかかりにくい作物など、これからの農業や、私たちの食生活を支えていく品種をより速く開発することが求められています。
これまでの品種改良【図1】では、自然界において紫外線などでDNAが傷つき、修復する過程で生じる変異「自然突然変異」や、放射線照射や化学薬品を使い突然変異の効率をあげる「人為突然変異」によって生まれた様々な形質を持つ個体から、より良いものを選抜する「突然変異育種」や、形質の異なる品種同士を掛け合わせて新しい品種を生み出したり、突然変異育種で得られた優良な形質を、既にある品種に持たせる「交配育種」が利用されています。
しかし、これらの方法では、有益な形質に変化した個体を探し、選ぶために多くの時間と労力が必要となります。
そこで近年使用されているのが、「ゲノム編集育種法」【図2】です。
ゲノム編集技術は狙ったところに突然変異を起こすことができるので、これまでの手法と比較して短期間での育種が可能となります。
この技術を開発したエマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士は、2020年にノーベル化学賞を受賞しています。
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